▶WORK & VACATION
▶ハタラクアソブのカタチ
本記事はワーケショナー本人によるワーケーション体験記を寄稿していただいた、ワーケーションの実事例として紹介させていただきます。冊子IBURI DOT SITE.執筆者によるWebコンテンツリライト版です。ワーケーションの今を伝えます。
地球史と北海道
いつもはコインチェックという暗号資産取引所で、プロダクトマネージャーをやっております、澤村周平と申します。この度は、コワーキングスペース苫小牧ベースのオーナーであり、私の友人、仕事仲間でもある下川部淳さんより、記事寄稿の機会をいただきまして、一筆取らせていただきました。
現在は暗号資産取引所(ビットコイン取引所と言った方が伝わるかもしれません。)で働いている私ですが、大学・大学院時代は地球惑星科学という分野を専攻しておりました。私は大学院時代に関しては、途中で個人事業を始めて、そちらの活動ばかりに時間を使うというアカデミックな世界の方々からするとあまり褒められない学生でした。そのため、研究をしたと胸を張れるほどの実績を残していないのですが、本記事ではせっかくなので、地質学的な話題からいぶり地方の訪問記を始めさせていただこうかと思います。
さて、地球惑星科学というのは、地球という惑星の成り立ちや地球内部の構造、地球全体の炭素・ケイ素などの物質循環を、物理学的・化学的・生物学的に理解しようとする学問でして、最近流行りのSDGsなんかにも深く関わる学問です。
その中の地質学という分野の研究対象として、火山・地震・プレートテクトニクスというのがあり、これは我々が住んでいる日本という国においては、非常にホットな話題です。北海道に関しても、例に漏れず地質学的に大変面白い地域でございます。たとえば、道央を走る日高山脈は、約1300万年前頃に太平洋プレートとユーラシアプレートの衝突地点として、地面が隆起した結果として形成されました。そして日高山脈の先端部分、襟裳岬のさらに先には、日高山脈の海底延長部分が存在し、はるか海底10,000mの日本海溝まで続いています。この日高山脈があることを1つの要因として、北海道の各地域は同じ道内でも大きく異なる気候特性を持っており、数千万年という悠久のときがもたらした自然が、我々の生活に影響を与えていることを振り返ると、なんだか自分達が普段抱えているような悩みがちっぽけなスケールのものに思えてきます。
そんな北海道の中でも、胆振という地域もまた地球の息吹を感じられる地域でして、支笏湖や洞爺湖、倶多楽湖といった周辺の湖は、火山活動の結果として生まれたカルデラ湖になります。カルデラ湖の特徴としては、水深が深いことや栄養塩の流入が少ないがゆえに水の透明度が高いことなどが挙げられますが、その中でも特に支笏湖は支笏ブルーと呼ばれ、非常に透明度が高いことで有名です。そして支笏ブルーの水中には、特産品のヒメマスが生息しており、これは1894年に原産地の阿寒湖から移入されたと言われており、支笏湖は自然の営みと人間の営みの共同作業を感じさせてくれる地でもあります。
私が北海道を訪れる理由
さて、私自身が苫小牧をはじめとする胆振地域を訪れたのは2019年が最初で、あまり数えていませんがおそらく今回で5度目ぐらいになります。5回も訪れれば流石に飽きるんじゃないかと思われるかもしれませんが、今のところ飽きる兆候が見られません。笑
今回、ワーケーションとして不動産投資家仲間とともに胆振地方を訪れまして、冒頭の淳さんと仕事の打ち合わせなどもやりつつ、海釣りを堪能しました。
私が胆振地方を何度も訪れてしまうのは、正直なところ自分でもはっきりと言語化できておらず、いつも歓迎してくれる淳さんをはじめとした、苫小牧の方々が好きで居心地がいいからというのが一番ではありますが、絶え間なく流れてくる情報の中で夢中で働いている時間と、ふと我に返ってそれを何のためにやっていてどう生きていきたいかを考える時間のバランスを取りたいというのも、理由の1つなのではないかと感じています。
東京で働いていると、日々電車やタクシーの広告、雑誌、SNSで絶えず競争を促されている気持ちになります。たくさんお金を稼ぎなさい、容姿端麗な配偶者を見つけなさい、仕事で優秀と言われなさい…などなど、あらゆる分野で競争を求められているうちに、その競争の結果何を成し遂げたいのかを考えることを忘れがちなのですが、胆振地方で豊かな自然と交流しているうちに、それを考える余裕を取り戻せる感覚があります。
そんな胆振地方での過ごし方で私個人的に特におすすめなのが、釣りです。私は釣り・キャンプが好きで、普段も土日に友人と行くことが多いのですが、なぜこれらがおすすめかと言うと、普段の当たり前に感謝できる機会が増えて幸福度が上がるというのが大きな理由です。
キャンプでは、火をつけるという普段ガスコンロであれば3秒でできてしまうことも、30分以上の時間がかかったり、場合によっては薪が湿気っていてつけられなかったりします。テントで寝ていると、日々暮らしている住居の安全性の素晴らしさを理解できますし、肉や野菜などの食材を冷蔵保存するときにも、食材が痛まないように保存できる冷蔵庫という文明の利器を痛感します。釣りに関しても、魚を捕獲してそれを水揚げし、食品衛生上安全に管理した上で、美味しい状態で消費者に届けるというのがどれだけ大変なことなのかというのを考えることができます。
普通に生きているだけでも大変多くの方に支えられているのだというのは、親や先生に言葉としては教わることですが、実感を持って理解する機会というのは意外と少なく、お店に並んでいる商品を買っているだけだとなかなか生の感覚として理解できないものです。そういった日々の当たり前に感謝し、有り難いことであると認識するのは、当たり前の毎日を幸せに感じるために大切なことだと思っています。普段仕事をしている場所を遠く離れて、釣りをして過ごすという時間の使い方は、その手段として大変優れているように考えています。
こんな人におすすめ
最後になりましたが、胆振地方でのワーケーションのモデルプランとして、私の今回の旅程を提示し、どんな方におすすめかというのを書かせていただいて本記事を終了させていただきます。
3-4割ぐらいの力で仕事をこなしつつ、普段の生活から離れてゆっくりと過ごしたい方
3-4日程度の短期滞在で、新千歳空港近くの利便性良い地域で北海道の自然を満喫したい方
360VR タップ&スワイプしてご覧ください↓
周知の通り、北海道は非常に広大で、短期滞在の日程で訪問場所を詰め込んでしまうと、移動時間が増えて、忙しない旅になってしまいがちです。一方、胆振地方であれば、新千歳空港からほど近い地域で、移動時間少なく北海道の文化・自然を満喫できる日程が立てやすいのです。
皆様、ぜひ一度胆振地方を訪れてみてはいかがでしょうか?
写真提供:千吉良鯨磨、佐藤傑
筆者:澤村周平
本WEB内容は冊子記事を
リマスターしたものです。